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病気や障害を抱えるこどもや家族への関心を高めるWEBメディア

クリニクラウンジャーナル

クリニクラウン導入を検討する病院の疑問や不安を払拭!日本クリニクラウン協会熊谷恵利子さんインタビュー

取材・文 香川花子 インタビュー取材:2018年10月

クリニクラウンは入院中のこどもたちに「こども時間」を届けるスペシャリスト。

2017年3月末までに出会ったこどもの延べ人数は9428名。2017年度の訪問病院数は301病院。全国各地の病院を訪問しているので、もしかしたらあなたもクリニクラウンとすれ違ったことがあるかもしれません。

実は、13年に渡る活動のなかで、クリニクラウンは初めて訪問する病院から「今回で終わりにしたい」と言われたことも、また大きなトラブルになったこともありません。それどころか、初めてクリニクラウンの訪問を受け入れた病院のスタッフからは「もっと早くクリニクラウンに来てもらえば良かった!」という感想をいただいてきました。

こどもたちだけでなく、病棟全体の雰囲気を明るく変えてくれるクリニクラウンの訪問は、一度体験すると「ぜひ、続けてほしい」と思わせる力があるのです。

とはいえ、病院としてはクリニクラウン導入までに、不安がいっぱいあると思います。「クリニクラウンってどんなことをするの?」「うるさそう」「病院は忙しいの。外部の素人の相手をしている暇はない」などなど……。
そこで今回は、病院側の不安を払拭するために、日本クリニクラウン協会の事務局次長兼マネージャー(※1)の熊谷恵利子さんにインタビュー。クリニクラウンの育成、病棟訪問の流れから料金まで、看護師の視点から詳しく伺いました。

(※1) 2018年インタビュー当時の肩書き、2019年6月より事務局長に就任

意外と知られていない?クリニクラウンの厳しいトレーニング

クリニクラウンは、「入院中のこどもたちに『こども時間』を届ける、コミュニケーションの専門家」だと熊谷さんは説明します。

こどもたちが入院する病棟には、絵本の読み聞かせや遊びのボランティア、アニマルセラピーなど、様々なボランティアによる訪問も行われていますが、クリニクラウンの独自性は何でしょうか?

「日本クリニクラウン協会はクリニクラウンの手法を用いて「すべてのこどもがこどもらしく過ごせる」社会、そして誰もが笑顔になれる社会を目指しています。その中で、クリニクラウンの役割は「入院中のこどもたちにこども時間を届けていく」こと。責任ある役割を担うために、厳しい基準のもとに専門家として育成し、目の前のこども一人一人と向き合っています」

では、いったいどんな人がクリニクラウンになることができるのでしょうか?クリニクラウンのトレーニング、病院訪問時の関わり方などについても、熊谷さんに詳しく伺いました。

「クリニクラウンになりたい方はたくさんいますが、オーディションに合格するのは毎年10人未満。病院での実地研修、病院関係者の方による、こどもの病気や入院中のこどもと家族の気持ちについての講義など、半年間の厳しいトレーニングを経て、クリニクラウンとして病棟に入れるのはその半分程度になることもあります」

また、クリニクラウンになってからも、年に12~15回は全体トレーニングを行うそうです。

「私達のゴールは、クリニクラウンになることではなく、入院中のこどもたちがその子らしく過ごせる「こども時間」を届けること。病気を抱えた入院生活の中でもこどもは成長しているので、遊びやコミュニケーションを通して、こどもの成長や発達をサポートしたいと考えています。それには、目の前で起こっている事に対して的確に状況判断できる力は勿論ですが、自分の気持ちをオープンマインドにしつつ、自分自身をコントロールする力も必要です。クリニクラウンとしての表現力はもちろん、自分の長所と短所を客観的に見つめて、短所は改善しようと自分をコツコツ育て続けることがすごく大事です」

病棟での関わり方は、あくまで病状や体調に合わせて行う

クリニクラウンのことを“少しだけ”知る人たちは「にぎやかに音を立てたり、ドタバタしたりするのでは?」と、派手なパフォーマンスを連想するようです。ところが、クリニクラウンの訪問は、場合によっては「声ひとつ立てない」こともあるのです。

「個別にお部屋を訪問するので、真剣に遊びながらもお子さんの病状や体調には最大限の配慮を行い、全てその子のペースの中で自然に関わります。もしも、緊張している様子だったら少し距離をあけたり、そのこどもの状況に合わせて関わり方を変えていきます。これまで、クリニクラウンの訪問によって病状が悪くなったお子さんの報告はありません」

また、もともと小児がんでクリーンルームにいるお子さんの病室訪問からスタートしたクリニクラウンは、衛生面の配慮も万全です。道具は全て毎回消毒。ラテックスアレルギーや誤飲などの危険性のあるバルーン(風船)は使いませんし、香水など匂いのあるものは身に付けません。訪問前には、健康診断書に加えて抗体検査結果・ワクチン接種証明書(麻疹・風疹・水痘・おたふく・B型肝炎)も提出します。感染症対策の医師からもお墨付きをいただいているそうです。

定期的な訪問を行うなかで信頼が得られ、ICU(集中治療室)やNICU(新生児集中治療室)にも入って欲しいと頼まれることもあります。

訪問前の準備は必要?実録:クリニクラウンの病棟訪問

では、具体的にクリニクラウンの病棟訪問の流れをご紹介しましょう。まず、初めての病院への訪問は、電話やメールでお問い合わせをいただくことから始まります。

「派遣希望日程・希望時間・訪問病棟の特徴や病床数をお知らせ下さい。その後、日程や時間の調整を行い、訪問するクリニクラウンの健康状態報告書(健康診断書・抗体検査結果など)を協会から提出します。訪問するときは、病院到着後に病棟スタッフとの事前カンファレンス、着替えや道具の消毒、ウォーミングアップを行います。病棟へ訪問し、こどもたちと過ごすのは2時間~2時間半ほど。訪問終了後は、再び病棟スタッフと感想の共有などの時間を持ちます」

たとえば、平日の午後の訪問の場合はこんな流れになるそうです。

12:30 病院到着
12:30~14:00 訪問準備
(事前カンファレンス※、更衣、道具の準備、ウォーミングアップ)
※事前カンファレンスは10~15分程度、病棟スタッフの都合に合わせて実施する。
14:00~16:00 病棟訪問
(訪問終了後に、感想の共有などの時間)

病院側に準備をお願いするのは、 「控室と病棟マップ(病棟フロア図)」
だそうです。更衣に使う控室は、男女のクリニクラウンペアでも1部屋でOKですが、「訪問前にこどもに見られない、病棟外のお部屋が良い」とのこと。では、「病棟マップ」は何に使うのでしょう。

「事前カンファレンスの際に、病棟マップを見ながら、それぞれのこどもの様子や衛生面への配慮(マスクや手袋・ガウンの着用の有無)、訪問する順番などを確認させてもらうためです。たとえば感染症を起こしているこどもは、一番最後に訪問するようにします。訪問時は、手洗いや手指消毒、マスクの着用やガウンコントロール、接触の有無など病院の指示に従いながら活動しています」

訪問前には、ポスターと2つ折りのリーフレットを病院担当者宛に送付。それらを使って病棟スタッフから家族に、クリニクラウンの訪問について説明をしてもらっているそうです。楽しみに待っていてくれるこどもたち、ご家族がある一方で、「怖いからNG」というこどもや、「こどもはいいけど、私には近づかないで」というお母さんもいて、事前の反応はさまざまです。

「でも、実際に他の部屋を訪問しているのを見ると「これなら、来て欲しかった」と言われることもありますね。私達もクリニクラウンが万全だとは思っていませんし、ご本人の気持ちを尊重したいと思っています。でも、道化師ってひたすら前向きに物事をとらえるので、相手のNOという気持ちを受け入れつつ、「あなたに会いたい。次は会えるといいなー」って、とことんポジティブに返せちゃうのがクリニクラウンの良さなのかなと思っています。そんなクリニクラウンがくると、病棟の雰囲気が明るくなるんですよ」

クリニクラウンの訪問は、こどもの療養環境の質を証明する

クリニクラウンの訪問は、もちろん入院中のこどもたちのために行われるものですが、病院側にとってもメリットはあるのでしょうか?

「病院からは「若いスタッフや看護学生さんに関わり方を見せて欲しい」と言われることがあります。また、「クリニクラウンから元気をもらっている」と病棟のスタッフから言われることも。あるいは、「病院のホームページや看護師募集要項に、クリニクラウンの訪問を載せたい」と相談されることもあります。入院しているこどもたちの療養環境を考えている病院は、患者さんからも看護師からも魅力的なのだと思います」

クリニクラウンは常にペアで病棟訪問を行います。訪問導入にあたってかかる訪問費用は、1回につき「2万円+交通費」から。訪問費用は基本的にはクリニクラウンへの謝礼として支払われます。ただし、初回の予算捻出が難しい場合は、協会に寄せられている寄付金での訪問も検討するそうです。

「お話をいただいた順番になりますので、何年かお待ちいただくこともあるかと思いますが、ご希望がある病院にはお伺いさせていただき、定期的な訪問につながればと願っています」

今回、看護師の視点から熊谷さんにお話をお伺いしましたが、クリニクラウンの導入は、病院側にもとても安心できるものだと思いました。

そして、クリニクラウンは病棟スタッフと一緒にこども達を守ってくれる人だということ。病棟スタッフはこども達の入院生活の向上に努めていると思いますが、クリニクラウンとの「こども時間」は、こどもを笑顔にして、自己肯定感を高め、病気に立ち向かう力を引き出すように思います。

この記事を読んで、病院関係者の方で『クリニクラウンに来てもらおうかな』と思った方は、ぜひ導入をご検討ください。予算が厳しい場合には、初回は無料で来てもらうことも出来ます。

また、この無料訪問は寄付で支えられています。病院関係者ではないけれど『もっとクリニクラウンが病院に行けたらいいな』と思っていただけたなら、小さな寄付からでも、クリニクラウンの活動を支えてみませんか。

たくさんの思いに支えられることによって、入院中のこどもたちの療養環境は確実によりよいものに変わっていくのですから。

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熊谷 恵利子
認定NPO法人 日本クリニクラウン協会 事務局長
日本で初めて養成された認定クリニクラウンの一人として設立当初から活動を開始。 2009年度より事務局スタッフを兼務。啓発事業として医療・教育関係者対象の研修・講義などの講師を務めるとともに、養成・派遣事業の業務などを担当し、後進の育成や協会の組織基盤を強化を行う。2019年6月に事務局長に就任。赤い鼻の力を信じ、「こどもがこどもらしく過ごせる社会」「誰もが笑顔になれる社会」を目指し奔走している。

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<ライタープロフィール>
香川花子

福島県出身。高校受験の先まで見据えた、自ら動けるマインドを育てる親子サポート『ミライノハナ』主宰。プロの家庭教師をしつつ、インドのマザー・テレサ施設でのボランティアをきっかけに2003年に看護師・保健師の資格を取得。2017年、誰もが笑顔になれる社会を目指す日本クリニクラウン協会の理念に共感し活動に参加。現局長の熊谷さんから『HAPPY WRITER』と命名される。
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