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病気や障害を抱えるこどもや家族への関心を高めるWEBメディア

クリニクラウンジャーナル

「一緒に応援してくれている」という実感が勇気をくれる存在 マルホ株式会社

認定NPO法人 日本クリニクラウン協会は2025年10月に法人設立20周年を迎えます。クリニクラウン・ジャーナルでは、これまで協会にご支援をいただいている企業のご担当者にインタビューさせていただき、様々な取り組みについてご紹介して参ります。

「一緒に応援してくれている」という実感が勇気をくれる存在 マルホ株式会社

2018年から日本クリニクラウン協会を支援してくださっているマルホ株式会社。

同社は、大阪に本社を持つ医療用医薬品メーカーで、約1600名(2025年7月現在)の従業員と研究所、工場の他、全国に支店と営業所を展開しています。特に皮膚科学領域のスペシャリティファーマとして、1915年の創業から100年以上、医療用医薬品を中心に、医療機器、セルフケアなど、さまざまな事業を幅広く展開しています。創業者の「薬で社会に貢献したい」という想いを受け継いだ同社のミッション「あなたといういのちに、もっと笑顔を。」を実現するために従業員と経営陣が対話を重ねるタウンホールミーティングを開くなど、従業員一丸となって企業価値向上を目指す温かい社風が魅力の会社です。

マルホさんとの取り組みの中で、いつも感じているのは、「一緒」という想い。寄付というかたちだけでなく、従業員の皆さんがボランティアに参加してくださったり、いろいろなカタチでチャリティに参加してくださったりすることが、私たちにとって本当にうれしく、心強いことだと感じています。「活動を応援してくれている人が、こんなにもいる」―そんな温かさをダイレクトに感じる瞬間が、私たちの力になっています。今回は、そんなマルホ株式会社の“ひみつ”に迫るべく、社会貢献活動を担当されている総務部サステナビリティ推進グループ チーフ・山 智子さんに、お話を伺いました。

創業100周年をきっかけに促進した社会貢献活動を支える「総務部サステナビリティ推進グループ」

ーマッチングギフト制度をはじめとして、ユニークな社会貢献活動をされていますね

そうですね。創業100周年を迎えた2015年に、従業員一人ひとりが主体的に寄付活動に参加しやすい仕組みとして導入したのが、複数の寄付先から従業員が寄付したい寄付先を選ぶことのできるマッチングギフト制度「まるほっとギフト」です。寄付活動というと、どうしても金額に目がいきがちですが、私たちとしては、金額ではなく従業員の参加率に目標を設定して活動してきました。当初18%からスタートした参加率は、今では目標の25%を超えて手応えを感じています。

私たちは社会貢献活動を通して、会社の社会的価値を認識することで、従業員それぞれが自分たちの業務の価値を見直し、やりがいにつながることが大切だと考えています。

そのためには、「お金を寄付してそれで終わり」ではなく、お預かりしたお金がどう使われたのか、きちんと顔が見える形で示すことが大切だと考えています。

そのために、協会へ出向いて贈呈式を実施したり、寄付がどのように使われたか、個別にレポートを提出いただいたりした上で、社内発信をしています。従業員が直接クリニクラウンの活動を知り、寄付の活用法を具体的に理解し、社会貢献への意欲を高めて欲しいという思いからです。

今の部署は2年前に組織が再編されて、総務部サステナビリティ推進グループとして社会貢献活動と環境活動がメインの業務になりました。新しいメンバーも加わり、今までになかった視点やアイデアが生まれて活動がどんどん活性化しています。

今後はもっと参加者の裾野を広げていくことと、社会課題に対する理解を深めていく活動を進めていきたいと思っています。

取材当日は総務部サステナビリティ推進グループの朝野さん、坂下さんも参加。

ー日本クリニクラウン協会へは2018年から継続的にご支援いただいていて、嬉しく思っています。何かご支援いただくきっかけはあったのでしょうか。

贈呈式にて。同グループの中村さんと

利益相反の観点から直接的な医療支援は難しいのですが、医療と関係のある分野での社会貢献を模索していた時に出会ったのがきっかけです。病院を訪問し、子どもたちに笑顔を届ける日本クリニクラウン協会の活動は、理想的な支援先でした。

社会には多くの支援を必要としている団体がありますが、会社としても個人としても支援できる先は限られています。そんな中一番最初に日本クリニクラウン協会さんと出会ったのが大きなご縁だと思い大切に育てたいと考えました。実は私は元々名誉会長の秘書として入社して、その後結婚出産を経て総務部に配属されました。社会貢献活動とは関係のない業務についていましたが、創業100周年の事業として「まるほっとギフト」が始まった時に今の担当になりました。

業務上、クリニクラウンさんの活動について学び、拝見していく中で、私個人として心動かされる場面がたくさんありました。例えば病院でクリニクラウンに会った子どもたちの表情がぱっと変わる瞬間を目の当たりにした時や、クリニクラウンが子どもたちとの一期一会の瞬間をものすごく大切にされている思いに触れた時に、「こういう活動を応援できている!」という喜びを実感したのです。こういう気持ちを従業員の皆さんとも共有したいなと率直に思いました。

寄付やボランティア先との取り組みにおいて、弊社は医療用医薬品メーカーですので、物品の提供はできません。かといって多くの人手を出せる規模の会社でもないので、正直ご希望に添えないことも多いのです。でも、日本クリニクラウン協会さんはどのくらい寄付をしているか、ボランティアに貢献しているかといった数字ではなく、一緒になって作り上げていくパートナーとしての関係性を大切にしていただいていて、嬉しく思っています。他方で寄付金の使途や活動内容に関する充実したフィードバックをいただくことで、透明性の高い支援関係が築けており、ここまで長くお付き合いが続いているのだと思います。

社内コミュニケーションの活性化にも一役かうボランティア活動

ーマルホさんと言えば、私も走る大阪マラソン! 大阪マラソンの「チャリティパートナー」に当協会が選ばれたことをお伝えしたら、沿道でチャリティランナーを応援する赤鼻応援団に、山さんが個人的に参加してくれたことがきっかけなんですよね。嬉しかったです!

大阪マラソン完走!中央がマルホ株式会社代表取締役社長杉田さん

はい。最初は担当になって、何か従業員に発信したいなと思って個人的にボランティアで日本クリニクラウン協会のチャリティランナーさんを応援しに行っていたのですが、これが結構楽しくて。せっかくなので、贈呈式に当時の執行役員に同行してもらったところ、「面白いから、会社として参加しよう」ということになりました。

昨年は社長の杉田も含めて5名のチャリティランナーが走りました。今年も5名が出場し、社長が応援に駆けつけました。従業員の中にはクリニクラウンのTシャツや赤い鼻をつけて応援してくれる人もいて、とても盛り上がりました。ただ、現地で応援できるのは大阪近郊に住んでいる人に限られてしまうので、この盛り上がりが一部の人だけの楽しみにならないような仕掛けが必要だなと思っています。そこで人事部が企画していた健康経営のウォーキングイベントと共同開催という形をとり、健康経営と社会貢献が結びつく全社的なイベントという形が実現しました。今後は大阪マラソンやチャリティの意義の周知も含めて従業員の理解を深める取り組みをしていこうと思っています。

ーチョキチョキボランティアもありがとうございます。社内であらたな発見があったということですが…

写真2:チョキチョキボランティアの様子

社会貢献活動というと、特別なこととして身構えてしまいがちですが、簡単な作業や、無理せず可能な範囲で参加できる機会として実施しているのが「チョキチョキボランティア」です。

チョキチョキボランティアは昼休みに集まって日本クリニクラウン協会で使うシールをチョキチョキ切ってもらう工作ボランティアです。単純な作業ですが、複数の部署から集まって行うので、普段交流の少ない従業員同士が自然に会話を交わす機会となり、仕事とは異なる一面を見せ合う場にもなり、職場内のコミュニケーション活性化につながっています。

それとは別にクリスマスカードの工作ボランティアも募集しています。在宅でも参加できるクリスマスカード制作キットの配布により、これまでボランティア活動に参加できなかった層の従業員の参加に繋がりました。参加者の分析結果では、従来の活動とは全く異なる職種や立場の従業員が参加していることがわかりました。何か参加はしたいけれど、物理的に参加できない人や、人と集まるのに抵抗があるけど、参加したいといった方はまだまだいると思います。そういった潜在的なニーズに応えることができるような機会も増やしていきたいと思っています。

持続可能な未来のために、社会貢献の輪を広げたい

社会貢献活動は会社を好きになってもらう活動のひとつだととらえています。

私自身にとってのモチベーションは、みんなが喜んで心が動く瞬間に立ち会えることですね。振り返れば、学生時代に社会貢献や福祉に興味があり、人と携わる仕事に就きたいと思っていたので、巡り巡って辿り着いたのかもしれません。

担当になってから、やりたいことがなかなかできない時期もありましたが、今は諦めなくて良かったと思います。時期が来て芽吹くときもあるし、形を変えて現れてくるときもある。なので、信じて願い続けることが大切だと思います。種はまき続けておいた方がいいと思います。少しずつ根付いていくと信じて。CSRってそういう活動かもしれません。

弊社には従業員の声を取り入れる企業文化が根付いています。社長が各拠点を訪れて従業員と対話するタウンホールミーティングなど、ボトムアップでの企業文化が醸成されることで、社会貢献活動が一層活発になることも期待しています。

今後はより広い従業員層の参加促進と、社会課題の理解を深める啓発的側面の強化が目標です。従業員の主体性と楽しさを大切にする取り組みを通じて、持続可能で意義ある社会貢献活動を実現し続けたいです。

マルホ株式会社 

大阪市北区に本社を置く、医療用医薬品等の研究・開発・製造・販売を行う製薬企業です。創業は1915年、従業員数は1,620人(2024年9月末)です。2024年9月期の売上高は869億98百万円でした。「あなたといういのちに、もっと笑顔を。」をミッションに掲げ、誰もが笑顔で暮らすことのできる社会の実現を目指しています。
マルホ株式会社についての詳細はwww.maruho.co.jpをご覧ください。

本社

〒531-0071大阪府大阪市北区中津1丁目5-22

代表電話:06-6371-8876

https://www.maruho.co.jp/

総務部サステナビリティ推進グループ チーフ 

山 智子

2001年入社、大阪府出身。

文化事業部を経て総務部へ。

俳句誌の編集、役員秘書、現部署では営業車両の管理、環境対応など多様な業務を経験。

2016年より社会貢献活動を担当し、マッチングギフト制度の開始当初より携わる。

二児の母、特技はトロンボーン。

⭐️事務局熊谷恵利子のインタビュー後記⭐️

お話をうかがって感じたのは、従業員一人ひとりの参加や、対話をとても大切にされている姿勢でした。 寄付やボランティアという応援の気持ちは誰もが持っているけれど、実際に一歩踏み出すには勇気がいります。その背中をそっと押す仕組みや、あたたかい雰囲気が、ここにはありました。そして何より印象的だったのは、「誰かのため」だけではなく、「自分たちの想いも重ねながら、共に支える」そんな“ともにつくる支援”のあり方が、マルホ株式会社さんの取り組みに込められていること。それこそが、私たちが感じている「応援してくれている人がいる」という温かさの源なのだと、あらためて思いました。これからもみなさんと一緒に、入院中のこどもたちやご家族に「こども時間」を届けていけたらと願っています。

構成・文:大谷見早