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病気や障害を抱えるこどもや家族への関心を高めるWEBメディア

クリニクラウンジャーナル

クリニクラウンへの最初の一歩らが~の道のりをたどる②

<クリニクラウンの研修の様子①>

自分と向き合いながら、暗中模索の中西さんが研修を続ける中で見えてきたものは。

障害者・児の施設を運営している中西さんの大きな目標「日本中の重症心身障がい児の活動場所を増やしたい。」その目標に近づくために目指したクリニクラウン。研修ではこどもたちや家族がどうしたら喜んでもらえるのかを教えてもらったりするのだろう、と期待していた彼に待っていたのは、「自分の気持ちを自由に表現する」という場でした。

あながたやりたいようにやるのが一番大事

今までこどもたちやご家族に寄り添い、相手の立場に立って、相手の想いをカタチにすることをずっとしてきた中西さんにとって「自分の気持ちを自由に出す」ことはとても難しいことでした。

”行きたくない””逃げ出したい”という気持ちを抱えながらも、懸命に自分と向き合い続けた中西さん。そんな彼に先輩は言います。「『みんなが望んでいるものはこれかな?』と先入観を持って表現すると変な間が空いてしまう。人の表情や気持ちを考えすぎると、人の顔色も見過ぎて自分の気持ちも入らない。相手には気持ちが入っていないのが伝わるよ」

「病気の子どもたちや重度の障がいのあるこどもたちや家族なら、なおさらその些細な気持ちの変化を感じとっている。だからその瞬間に、あなたがやりたいようにやるのが、今のあなたにとって一番大事やねんで。」と研修で言われたそうです。

自分の素直な気持ちと向き合う。

<クリニクラウンの研修の様子②>

一番大事なことが、一番難しい。研修に行く度にかけられる言葉に悩むことが続きました。「もう、研修に行くの嫌やな」と思ったこともありましたが、そこは基本が真面目な中西さん。研修を休むことはありませんでした。

支えになったのは、毎回、研修後に提出する『自分を見つめるシート』に、先輩クリニクラウンが書いてくれるコメント。何度も何度も読み返し、少しずつ自分との向きあい方について考えていけるようになったそうです。

自分と向き合ってみて変わったこと

「中西さんには、長年にわたり重度の障がいがある子どもとその親に深く関り、支援してきたという自負がありました。しかし、「わかっている」と思っていたことでも、研修を受けるたびに目からウロコが落ちていきます。「僕のやってきた事は間違えてないけど、そっち(クリニクラウンの研修で学んだこと)の方があってる」ってチャンネルを切り替えるのが難しかったと、まっすぐ前を見て中西さんは話してくれました。

自分を素直に出すことを「とりあえず、やってみよう」と、思えるようになってきたそうです。表現力はないけれど、それは仕方がない。気持ちの部分ではすごく素直に受け止められる時間が少しずつ増えてきたなと実感しています。

「もちろん、この場を立ち去りたいくらい嫌な時も、自分の繊細なところをつかれたら、トイレに逃げ込みたいこともありました。それも徐々に受け止めることができるようになってなって、最終的には『まぁいっか』と思えるようになってきた」

そう話してくれる中西さんに、彼の中での変化した「何か」について、もう少し聞いてみたいと思いました。

みんなを信頼してもいいかもしれない

自分のこともさらけ出せず、相手の事も知ろうとしない。だけど研修は進んでいく。そんな時間を重ねていく中で「同じ研修生も、先輩クラウンも僕のことを思ってくれるてるんやな」と感じ、「この人らめっちゃ信頼してもいいんちゃう?なんかめっちゃいい人じゃなくて本当に育てようと思ってくれてるし、僕もちゃんと素直にやらなあかんな」と思うようになったそうです。

「みんなを信頼できるようになったこと。自分のことをどんな状態でも受け止めてくれるかもしれへんって思えるってことですよね」

そう思えるようになった頃、会社でも変化があったそうです。

「クリニクラウンの研修が始まったころは、僕がいなくなることにスタッフが喜んで送り出してくれてたと思うんですよ。僕が居ると色々言うでしょ。うるさいと思うんですよ。でも研修が進むにつれてスタッフみんなが応援してくれるようになったんです」

スタッフからは「優しくなった」、「話を聞いてくれるようになった」、「時間をとってくれるようになった」「研修に行って帰ってくると全然違う」という声が聞かれるようになったそうです。いつのまにかスタッフが「(研修)いいですね」と言って応援してくれるようになったそうです。

「自分にも周りにも。どっちにもいい影響がある。だから研修が楽しいんです。」と少しほっとした表情で話す中西さんが印象的でした。

<クリニクラウンの研修の様子③>

「初めて知った」クリニクラウンのこと

研修を続ける中で気付いたこと。それはクリニクラウンたちが赤鼻を付けているときは思いっきりクリニクラウンで、外したら大人としてちゃんと意見を言ってくれるということ。プロとして一緒に向上していこうという思いがあるからこそ、「まぁ、そのくらい」ではなくきちんと指摘をしてくれる。また、たくさん経験を積んだ今でも、先輩クラウンたちは何か気付いたことがあればお互いに話をし、反省をすることにも感服したそうです。

「今はすごい研修が楽しいです。病院に行くのは怖いですけど。」そう話してくれた中西さんは研修がほんとうに楽しく感じている、そんな表情でした。研修は知らないことをいっぱい教えてくれて、新鮮で面白いと嬉しそうに話してくれました。

「次はきゃしーさんと訪問することが決まっているんですけど、なんとかなるでしょう。」

と笑顔で話す中西さん。チラシもみて「へぇー」と思ったことから始まり、約10か月の研修を終えるまであともう少し。最後の認定試験に合格したら、病院で活躍する日もすぐそこです。大変だったことも嬉しかったことも、全部ひっくるめて楽しそうに笑顔で話す中西さんを新しいクリニクラウンの仲間として迎える日を楽しみに、これからも応援したいと思います。

(※)インタビュー当時は研修生でしたが、2019年11月10日にクリニクラウンに認定されました!これからの活躍を応援しています。

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中西良介
生まれも育ちも大阪府東大阪市。
座右の銘は「そりゃ嫌なことも辛いこともあるけど、みんなで楽しくすごそうや(^o^)丿」
ヘルパー歴16年。16年前に重症心身障がい児と出会い、支援の数も種類も少ない環境を改善したいと思い無いなら自分で作ろうと起業。 現在は、東大阪市を中心に障がい児者を支援する事業を行っている株式会社ノーサイドの代表取締役。
日本中の重症心身障がい児と出会いたいと思った事がキッカケで、クリニクラウンの選考会に挑戦。2019年11月に認定を受け、クリニクラウンとして入院中のこどもたちへこども時間を届けている。

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<ライタープロフィール>
塚本真美
1977年大阪府堺市生まれ、堺市育ち。2000年春、社会人になる時に内側からNPOを支える存在ではなく、外側から支えられる存在になろうと考える。様々な職を転々としながら、NPOの色んな活動に参加し暗中模索の20年を過ごす。そんな中でこの「つながる編集教室」に出会う。書くこと、伝えることを学び社会に貢献する一助になればと応募し現在に至る。まだまだ旅の途中。